眼科

眼科の概要
眼科では、目の赤み、涙、目やに、しょぼつき、白濁、視力の低下などを診療します。目の病気は進行が早いものもあり、痛みや違和感があっても動物は言葉で伝えることができません。角膜、結膜、水晶体、眼圧、網膜などを確認し、視覚と目の快適さを守るため、早期発見・早期治療を大切にしています。
担当医のご紹介

松田 康良
専門
眼科
略歴・資格
- 日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 全科研修医
- 日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 外科研修医
- 東京農工大学附属動物医療センター 特任助教 総合診療科
- 東京農工大学附属小金井動物救急医療センター 特任助教
- 比較眼科学会
- 日本獣医腎泌尿器学会
よくある症状
こんな症状があったらご注意ください。
- 目が赤い
- 涙が多い
- 目やにが増えた
- 目をしょぼしょぼする
- 目をこする
- 目が白く見える
- まぶしそうにする
- 物にぶつかる
- 片目を閉じている
当院で可能な検査、処置
検査項目
- 眼科一般検査
- 細隙灯検査(角膜・結膜・水晶体・瞬膜の確認)
- フルオレセイン染色検査
- 涙液量検査
- 眼圧測定
- 眼底検査
- 神経学的検査(視覚反応の確認)
- 眼脂検査
- エコー検査
- 鼻涙管通過検査
- まぶたやまつ毛の異常確認
- 必要に応じた全身疾患の確認
処置項目
- 点眼薬による治療
- 角膜保護処置
- 目やに・眼周囲の処置
- 眼の洗浄処置
- 眼瞼疾患の治療相談
- 眼の痛みに対する内科治療
- 自宅での点眼方法の指導
- 高度治療が必要な場合の専門施設紹介
よくある症例
結膜炎
まぶたの裏や白目の表面に炎症が起こる病気です。赤み、涙、目やに、かゆみがみられます。感染、アレルギー、異物など原因の確認が必要です。
角膜潰瘍
目の表面である角膜に傷ができる病気です。強い痛みを伴い、目を閉じる、涙が多い、こするなどの症状が出ます。悪化すると視力に影響します。
乾性角結膜炎(ドライアイ)
涙の量が不足し、目の表面が乾燥する病気です。粘り気のある目やに、充血、角膜の濁りがみられます。継続的な点眼治療が必要になることがあります。
白内障
病態
白内障とは、目の中でカメラのレンズの役割をしている「水晶体(すいしょうたい)」が白く濁ってしまう病気です。
水晶体が濁ると光が網膜まで届かなくなるため、視力が徐々に低下し、進行すると周囲の状況が見えなくなってしまいます。特に犬での発生が多く、シニア期(7〜8歳以降)の代表的な目の病気ですが、中には遺伝によって若いうちに発症するケースもあります。
白内障は、水晶体の濁りの程度によって大きく4つのステージに分けられます。進行度によって現れる症状や治療の選択肢が変わってきます。
状態: 水晶体のごく一部(15%未満)が濁り始めた初期の段階です。
見え方: 視力への影響はほとんどなく、日常生活も普通に過ごせます。外見からは白さに気づきにくい段階です。
状態: 濁りが広がり(15%以上)、光の反射によって目がうっすら白く見えるようになってきます。
見え方: 視力が低下し始め、「物によくぶつかる」「暗い場所を嫌がる」といったサインが出始めます。※手術を検討する最適なタイミングです。
状態: 水晶体の全体が完全に白く濁りきった状態です。
見え方: 光を感じる程度しかできず、ほぼ失明状態となります。目の中での炎症(ぶどう膜炎)を引き起こしやすくなります。
状態: 濁った水晶体が溶け出し、小さく縮んでいく最終段階です。
見え方: 溶けたタンパク質が原因で目の中に激しい炎症が起き、「緑内障」や「水晶体脱臼」などの深刻な合併症を高確率で併発します。激しい痛みを伴うことも多く、非常に危険な状態です。
白内障はその原因によって大きく4つに分類されます。
最も一般的で、7〜8歳を過ぎた頃からリスクが高まります。
2歳〜6歳前後の若い年齢で発症します。(トイ・プードル、チワワ、柴犬、ミニチュア・シュナウザーなどは遺伝的になりやすい犬種です)
特に犬の糖尿病に伴うものは進行が非常に早く、数日〜数週間で「成熟白内障」まで一気に進行することもあるため緊急を要します。
猫に多く、ケンカによる目の怪我や、目の中の激しい炎症(ぶどう膜炎など)に続いて起こります。
症状
- 目が白く濁って見える
- 壁や家具によくぶつかるようになった
- 床に落ちたおやつや、おもちゃを見落とす
- 段差や階段を怖がる・ためらう
- 暗い場所(夜のお散歩など)で歩きたがらない
- 音に対して急にビクッとするようになった
といった症状がでてきます。しかし、「眼が白い=白内障」というわけではありません。
シニア期になると、病気でなくても目が白っぽく見える**「核硬化症(かくこうかしょう)」**という加齢による自然な変化があります。核硬化症は視力が維持されており治療の必要はありませんが、白内障は放置すると悪化してしまいます。これらは動物病院での専門的な検査で見分ける必要があります。
検査
当院では、水晶体の濁り具合だけでなく、「実際にどこまで見えているか」「目や神経の反応が正常か」を確かめるために、以下の検査や簡単な神経学的検査(視力・反射の検査)を行います。
- 対光反射(PLR): 光を当てたときに瞳孔がキュッと縮むかを確認し、目から脳への神経伝達を調べます。
- 威嚇瞬目(いかくしゅんもく)反射: 手をパッと目に近づけたときに瞬きをするか観察し、視覚と神経系をチェックします。
- 眩目(げんもく)反射: 強い光を当てた際に反射的に目を細めたり顔を背けたりするかを確認します。
- 綿球落下試験: 風を起こさないよう静かに落とした綿球を走顔で追うか(追従運動)を観察し、動くものを認識できているかを調べます。
- 迷路試験: 診察室内に障害物を置き、明るい場所・暗い場所でスムーズに歩けるかをテストして実用的な視力を判断します。
目に細い光をあてて拡大観察し、白内障の進行ステージ(初発・未熟・成熟・過熟)や角膜・水晶体の状態を詳しく観察します。
白内障に併発しやすい「緑内障」がないか、また目の中が真っ白で奥が見えない場合に超音波で「網膜剥離」などが起きていないかを確認します。
治療
白内障は「薬で一度濁ったレンズを透明に戻す」ことはできません。そのため、進行ステージやご家族のご希望に合わせて治療を選択します。
- 対象: 初発〜未熟白内障の段階、または高齢や持病で全身麻酔がかけられない場合。
- 内容: 当院にて進行を遅らせる点眼薬(目薬)やサプリメントを処方し、少しでも長く視力を維持できるよう経過観察を行います。また、成熟・過熟期への進行による眼内炎症(ぶどう膜炎)を抑える点眼治療も行います。
- 対象: 視力の回復を目指す「未熟白内障〜成熟白内障」の段階で、全身麻酔が可能な健康状態である場合。
- 内容: 濁った水晶体を摘出し、人工の「眼内レンズ」を挿入して視力を回復させる高度な専門手術です。
当院では白内障の外科手術(眼内レンズ挿入術等)は実施しておりません。検査の結果、手術適応と診断され、ご家族が手術による視力回復をご希望される場合は、信頼できる眼科専門の動物病院や二次診療施設(大学病院等)へ責任を持ってご紹介させていただきます。まずは当院にて精密検査を行い、最適な治療のタイミングや選択肢を一緒に考えていきましょう
チェリーアイ(瞬膜腺脱出)
チェリーアイ(瞬膜腺脱出)とは、目頭の内側に赤いポッチのような腫れが見られる状態で。さくらんぼに似ていることから「チェリーアイ」と呼びます。
病態
犬や猫の目頭には、眼を保護する「瞬膜(第三眼瞼)」という膜があり、涙の30%を作り出す役割を担っている瞬目腺が存在します。本来眼窩(がんか)という窪みに収まっているこの瞬目ですが、それを支える組織が弱かったり、眼を擦った衝撃などがきっかけで、涙の腺が腫れて、外に飛び出してしまう(脱出する)病気です。
症状
瞬膜腺が脱出し、瞬膜自体が赤く腫れ、目頭からサクランボのような赤い組織が飛び出しているような見た目になります。
そのため、飛び出した腺が空気に触れ炎症を起こし、刺激で涙や目ヤニが多くなります。
検査
角膜(眼の表面)に傷がついていないか、フレオレセンイという色素を使って確認します。
涙の分泌量を調べる検査です。
涙がしっかり分泌されているかを測定し、ドライアイの評価を行います。
細かい光を目に当てて角膜や水晶体などに眼の組織を拡大して調べます。
瞬膜の状態や、他の目の病気が隠れていないかを詳しく検査します。
治療
チェリーアイによって生じた炎症や腫れ、痛みを抑えるための抗生剤や抗炎症剤の点眼や眼軟膏を使用します。
また、症例によっては綿棒などを用いて一時的に脱出した瞬膜腺を元の位置へ戻す処置を行うこともあります。
ただ、これらの治療は症状の改善を目的としたものであり、脱出した瞬膜腺そのものを正常な位置に固定することはできません。そのため一時的に改善しても再発するケースがほとんどです。
ポケット法
瞬膜に切開を施し、ポケットを作成し脱出した瞬膜腺を元の位置(瞬膜の内側)に収め、縫合する手術です。
瞬膜腺は、涙を作る非常に重要な組織です。そのため瞬膜腺の切除は将来的に重度のドライアイを引き起こす可能性があります。
緑内障
眼圧が上昇し、視神経や網膜に障害を起こす病気です。強い痛みや視力低下を伴うことがあり、早急な診断と治療が必要です。
眼瞼内反症
まぶたが内側に巻き込み、まつ毛や皮膚が角膜を刺激する病気です。涙、痛み、角膜潰瘍の原因になるため、重症例では手術を行うことがあります。
ぶどう膜炎
目の内部に炎症が起こる病気です。充血、痛み、瞳孔の変化、白濁などがみられます。全身疾患が関係することもあり、原因の確認が大切です。
網膜剥離
網膜がはがれ、急な視力低下や失明につながることがある病気です。高血圧や炎症、外傷などが関係することがあり、全身状態の評価も重要です。
角膜黒色壊死症
主に猫でみられる角膜の病気で、角膜に黒い斑点のような病変ができます。痛みや涙、しょぼつきがみられ、進行例では外科処置を検討します。
