整形外科・脳神経科

Orthopedics and Neurosurgery

整形外科・脳神経科科

整形外科・脳神経科科の概要

整形外科・脳神経科科の概要

整形外科・脳神経科では、足を引きずる、立てない、歩き方がおかしい、けいれんを起こすなど、骨・関節・筋肉・神経に関わる症状を診療します。痛みの場所や神経の異常は外見だけでは判断しにくいため、身体検査、歩様検査、神経学的検査、画像検査などを組み合わせて原因を探り、症状に合わせた治療をご提案します。

専門獣医師(非常勤/アドバイザー)のご紹介

原先生

原 康 先生

小動物外科、整形外科、脳神経外科

  • 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)大学院獣医学専攻博士課程 修了
  • 日本獣医生命科学大学 獣医外科学教授
  • 日本小動物外科設立専門医

よくある症状

こんな症状があったらご注意ください。

  • 足を引きずる
  • 散歩を嫌がる
  • 段差を上り下りしにくい
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 足を触ると痛がる
  • ふらつく、まっすぐ歩けない
  • 首や背中を痛がる
  • けいれん発作を起こす
  • 急に立てない、歩けない

当院で可能な検査、処置

  • 歩様検査
  • 整形外科検査
  • 神経学的検査
  • 触診による痛みの評価
  • 関節可動域の確認
  • レントゲン検査
  • 血液検査
  • 炎症や全身状態の確認
  • けいれん発作の初期評価
  • 鎮痛薬による痛みの管理
  • 関節疾患の内科治療
  • 安静・運動制限の指導
  • 体重管理の指導
  • 抗てんかん薬による管理
  • 発作時の対応指導
  • リハビリや生活環境のアドバイス
  • 必要に応じた専門医療機関への紹介
Case

よくある症例

形外科・脳神経科科における犬猫によくある症例をご紹介します。

膝蓋骨脱臼

病態

膝蓋骨(しつがいこつ:Patella)は一般的に「ひざのお皿」と呼ばれる骨で、膝を伸ばしたり歩いたりする際に重要な役割を担っています。正常な膝では、膝蓋骨は大腿骨(太ももの骨)の先端にある「滑車溝(かっしゃこう)」と呼ばれるくぼみの中に収まり、滑らかに動いています。

膝蓋骨脱臼とは、この膝蓋骨が本来収まっている滑車溝から外れてしまう病気です。脱臼は膝の内側、または外側に起こりますが、犬では内側に脱臼する「膝蓋骨内方脱臼(Medial Patellar Luxation:MPL)」が大部分を占めています。

特にトイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬で多くみられ、若齢時から発症することも少なくありません。多くの場合、生まれつきの骨格や膝関節の構造的な特徴が関係しており、成長とともに徐々に症状が現れます。

膝蓋骨が繰り返し脱臼することで関節軟骨への負担が蓄積し、関節炎や骨の変形を引き起こすことがあります。また、進行すると前十字靭帯断裂などの整形外科疾患の併発するリスクも高くなります。

症状

症状の程度は軽度から重度まで様々です。

初期には

  • 突然後ろ足を挙げる
  • 数歩スキップするように歩く
  • 少しすると歩き始める

といった症状がみられます。

進行すると

  • 散歩や運動を嫌がる
  • 階段の上り下りをためらう
  • ジャンプをしなくなる
  • 後ろ足をかばうような歩き方になる
  • 常にびっこを引く

などの症状が現れることがあります。

さらに重症例では、後肢を曲げたまま歩く「Crouch gait(クラウチゲイト)」と呼ばれる”いざり歩行”がみられ、正常な歩行が困難になることもあります。

「たまに足を上げるだけだから大丈夫」と思われがちですが、症状が軽く見えても関節へのダメージが進行している場合があるため注意が必要です。

検査

膝蓋骨脱臼の診断では、歩き方の膝の状態、骨の変形の有無を総合的に確認します。当院では主に「視診・歩様検査」「触診」「レントゲン検査」を組み合わせて診断します。

一般的に膝蓋骨脱臼は重症度によって以下の4段階にされます。

グレード1

普段は正常な位置にあるが、指で押すと脱臼し、手を離すと脱臼し、手を放すと自然に元へ戻る。

グレード2

日常生活の中で脱臼することがありますが、自力で元の位置に戻る。

グレード3

常に脱臼している。手で元の位置に戻すことができるが、手を離すとまた脱臼する。

グレード4

常に脱臼しており、手で戻すこともできない。

 まずは立ち姿勢や歩き方を観察します。後ろ足を一時的に上げる、スキップするように歩く、歩幅が狭い、後肢を曲げたまま歩くなど異常がないか確認します。

膝関節を実際に触り、膝蓋骨が外れやすいか、自然に戻るか、常に脱臼しているかを確認します。

あわせて痛みや関節の腫れ、可動域の異常も評価し脱臼の重症度(グレード1~4)を判定します。

レントゲン検査では膝蓋骨の位置だけでなく、大腿骨や脛骨の変形、関節の有無、骨の並び方などを確認します。前十字靭帯断裂などの併発疾患がないかも評価し、手術が必要かどうかの判断に役立てます。

症例によっては骨の変形や骨や関節の並び方、位置関係をより詳細に評価するためにCT検査を行うこともあります。

治療

治療方法は症状の程度や年齢、生活の質(QOL)などを考慮して決定します。

保存療法(内科治療)

比較的軽度な症例では、保存療法による経過観察が選択されることがあります。

主な管理方法として、

  • 適正体重の維持
  • 筋力維持のための適度な運動
  • 滑りにくい床環境の整備
  • サプリメントの活用
  • 消炎鎮痛薬による疼痛管理

などがあげられます。

特に体重管理は膝関節への負担を軽減するために非常に重要です。

外科的治療

以下のような場合には手術を検討します。

  • グレード3~4の症例
  • 頻繁に症状がみられる場合
  • 持続的な跛行(びっこ)がある場合
  • 骨変形が進行している場合
  • 前十字靭帯断裂を併発している場合

膝蓋骨脱臼の手術には単に外れている膝蓋骨を元の位置に戻すだけではありません。膝蓋骨が脱臼してしまう原因を評価し、再び外れにくい膝関節を作ることを目的として行います。

そのため、多くの症例では複数の術式を組み合わせて行います。

滑車溝形成術

膝蓋骨が収まる「滑車溝」が浅い場合には、溝を深く形成する手術を行います。膝蓋骨が安定して収まるようになるとこで、脱臼の再発を防ぎます。

脛骨粗面転移術

膝蓋骨は太ももの筋肉から脛骨(すねの骨)へと続く健によって支えられています。この引っ張る力の向きがずれている場合には、脛骨粗面と呼ばれる骨の一部を移動させ。膝蓋骨がまっすぐ動くように矯正します。

軟部組織の調整

脱臼によって関節包や周囲の組織に偏った緊張が生じていることがあります。そのため、緩んでいる部分を補強したり、過度に張っている部分を緩めたりすることで、膝蓋骨が適切な位置に維持される様に調整します。

骨切り術

重度の膝蓋骨脱臼では大腿骨や脛骨のそのものが変形していることがあります。このような症例では、骨を切って角度を矯正する「矯正骨切り術」が必要になる場合があります。

手術方法は症例ごとに異なります。

膝蓋骨脱臼は全ての症例で同じ手術を行うわけではありません。年齢や体格、脱臼の程度、骨格の変形の有無によって適切ノア治療方法は異なります。

膝蓋骨脱臼は犬で最もよくみられる整形外科疾患の一つです。特に小型犬では若いうちから発症することが多く、軽度な症状でも将来的な関節炎や骨変形につながる可能性があります。

「最近スキップするように歩く」「後ろ足を上げることがある」「歩き方が以前と違う」といった様子が見られましたら、お早めにご相談ください。

前十字靭帯損傷

病態

前十字靭帯は、膝関節の安定性を保つ大切な靭帯のひとつです。大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぎ、脛骨が前方へずれることや膝関節の過度なねじれを防ぐ役割を担っています。

人ではスポーツや外傷による急性の前十字靭帯断裂が多くみられますが、犬では発症機序が異なります。犬では加齢や遺伝的要因、膝関節の構造的特徴などによって前十字靭帯に変性(軟骨化生)が生じ徐々に靭帯が弱くなることで損傷・断裂へ進行します。

前十字靭帯の損傷は部分断裂から始まり、最終的に完全断裂へと進行することが少なくありません。靭帯が断裂すると膝関節が不安定になり、歩行時に脛骨が前方にずれることで痛みや跛行を引き起こします。

また、関節の不安定性が続くことで半月板損傷を併発することが多く、特に大型犬では両後肢に発症するケースも少なくありません。小型犬では内方膝蓋骨脱臼(MPL)に続発して発症することもあります。

さらに、治療が遅れると変形性関節症(骨関節炎)が進行し、慢性的な疼痛や運動機能の低下につながります。そのため早期診断・早期治療が重要な整形外科疾患のひとつです。

症状

前十字靭帯断裂では以下のような症状がみられます。

  • 突然後肢をあげる
  • 足を引きずる(跛行)
  • 足に体重をかけたがらない
  • 散歩や運動を嫌がる
  • ジャンプや階段の昇降を避ける
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 膝周囲の腫れ
  • 後肢の筋肉量が減少する

部分断裂の場合には症状が軽度で、一時的に改善したように見えることがあります。しかし、靭帯の変性は進行しているため、時間の経過とともに完全断裂へ進行することが少なくありません。

半月板損傷を併発すると、急激な痛みの悪化や重度の跛行がみられることがあります。

検査

前十字靭帯断裂の診断は、身体検査(視診・触診)と画像検査を組み合わせて行います。

身体検査

歩様や姿勢を観察し、膝関節の腫脹や疼痛の有無を確認します。また、鎮静化または無麻酔下でドロワーサイン(脛骨前方引き出し試験)や脛骨圧迫試験を行い、膝関節の不安定性を評価します。

レントゲン検査

前十字靭帯自体はレントゲンには写りませんが、関節液の増加や関節炎の進行、骨の変化などを確認することができます。また、他の整形疾患との鑑別にも有用です。

超音波検査

関節内の液体貯留や周囲組織の状態を評価する補助検査として実施する場合があります。

関節鏡検査

関節内を直接観察できるため、前十字靭帯の損傷程度や半月板損傷の有無を正確に評価することが可能です。診断と同時に治療をおこなえる場合があります。

治療

前十字靭帯の治療法は、体格、年齢、活動性、断裂の程度、半月板損傷の有無などを考慮して選択します。

高齢健や活動性の低い症例、部分断裂の一部症例では保存治療を選択するとこがあります。

保存治療には、

  • 安静管理
  • 体重管理
  • 消炎鎮痛剤の投与
  • サプリメント療法
  • リハビリテーション

などがあります。

しかし、保存治療では膝関節の不安定性を根本的に改善することは難しく、関節炎の進行や症状の再発がみられることがあります。

活動性の高い犬や中~大型犬、多くの完全断裂症例では外科的治療が推奨されます。

代表的な術式として

TPLO法(脛骨高平部水平化骨切り術)

TPLOは現在最も広く行われている前十字靭帯断裂の手術方法のひとつです。

犬の膝関節は、脛骨(すねの骨)の上面が傾斜しているため、前十字靭帯が断裂するとと体重をかけるたびに脛骨が前方へ滑ろうとする力が発生します。TPLOでは脛骨の一部を円弧状に骨切りし、この傾斜を平坦化することで、前十字靭帯がなくても膝関節が安定するようにします。骨切り後は、矯正した脛骨を専用のTPLOプレートとスクリュー(ネジ)を用いて固定します。プレートによって骨を安定化させることで骨の治癒を促しながら早期からの機能回復を目指します。

関節外制道術(ラテラルスーチャー法)

ラテラルスーチャー法は、特殊な糸を用いて膝関節の外側から関節を安定化させる手術方法です。

断裂した前十字靭帯の代わりとなるように人工靭帯の役割を果たす糸を設置し、膝関節の不安定性を軽減します。手術侵襲が比較的小さく、特に小型犬や中程度までの症例で選択されることが多い術式です。しかし、この糸は数か月で切れてしまったり緩んできます。それまでの間に、関節周囲に新しい組織が増えることで正しい位置で関節が固まってくれることを期待します。

また、半月板損傷を併発している場合には損傷した半月板に対する処置も併せて行います。

手術の目的は膝関節の安定性を回復させ、疼痛を軽減し、変形性関節症の進行を最小限に抑えることです。術後は適切な運動制限とリハビリテーションを行うことで、多くの症例で良好な機能回復が期待できます。

前十字靭帯断裂は自然治癒が難しい疾患です。放置すると半月板損傷や変形性関節症が進行し、慢性的な痛みや歩行障害につながる可能性があります。

「後肢を上げる」「歩き方がおかしい」「散歩を嫌がる」などの症状がみられた場合は早めにご相談ください。

股関節形成不全

股関節形成不全(Hip dysplasia)は、成長期の子犬や(特に大型犬)や子猫によく見られる疾患で、成長期の異常な股関節弛緩に起因した骨関節炎が股関節痛や跛行などの臨床症状を引き起こします。罹患動物では一生涯に及び股関節の疼痛を抱えて生活することになり、特に大型犬の場合、QOLを悪化させます。

骨折

落下、事故、外傷などにより骨が折れる状態です。強い痛みや腫れ、足をつけない症状がみられます。骨折部位や年齢に合わせて固定や手術を検討します。

椎間板ヘルニア

病態

椎間板ヘルニアは、脊椎骨と脊椎骨の間に存在し、クッションの役割を担う椎間板の変性に起因して発症する疾患です。変性した椎間板の一部が飛び出してしまうことで脊髄や神経の圧迫をし疼痛や神経障害を引き起こします。

発生部位としては胸腹部(背中)が最も多く認められますが、約20%は頸部(首)に発生します。 

椎間孔ヘルニアでは、発症から治療までの時間が予後に大きく影響します。特に神経症状や麻痺が認められる症例では、できるだけ早期に脊髄を圧迫している椎間板物質を除去することで、神経機能の回復が期待できるため、迅速な診断と適切な治療介入が重要となります。

症状

椎間板ヘルニアの症状は発生部位や脊髄への圧迫の程度によって異なります。初期には痛みだけの場合もありますが、進行すると歩行障害や麻痺を引き起こすことがあります。

主な症状

  • 首や背中を痛がる
  • 抱き上げると鳴く
  • 元気や食欲が低下する
  • 動きたがらない
  • 歩き方がふらつく
  • 足先を引きずる
  • ジャンプや階段の昇降を嫌がる
  • 足に力が入らない
  • 自力で立てない、歩けない
  • 排尿や排便がうまくできない

頸部(首)の椎間板ヘルニアでは、強い首の痛みが主な症状です。重症化すると脊髄が圧迫され、四肢のふらつきや麻痺がみられることがあります。症状は前足、後ろ足の両方に出ます。

胸腰部(背中)の椎間板ヘルニアでは、後肢のふらつきや麻痺が主な症状です。神経障害の程度によって以下のように分類されます。

グレード1

背中の痛みが認められます。背中を丸め、抱き上げると鳴く、動きたがらないなどの症状がみられます。

グレード2

後肢のふらつきやもつれが認められます。歩行は可能ですが、足先を擦る、転びやすくなるなどの症状がみられます。

グレード3

後肢に十分な力が入らず、自力で立ったり歩いたりすることが困難になります。

グレード4

後肢が麻痺して歩行できませんが、足先を強く刺激すると痛みを感じる反応は残っています。

グレード5

後肢が完全に麻痺し、足先を強く刺激しても痛みを感じる反応が認められません。神経障害が重度の状態であり、早急な治療が必要です。

特に重症例では「進行性脊髄軟化症」という重篤な合併症を引き起こすことがあり、命にかかわる場合もあります。

進行性脊髄軟化症は、重度の胸腰部椎間板ヘルニアでまれにみられる重篤な合併症です。脊髄の障害が進行し、脊髄組織が壊死したことをきっかけにその壊死が広がっていくことでで発症します。

はじめは後肢の麻痺として現れますが、その後麻痺や前肢や呼吸にかかわる筋肉へと広がることがあります。残念ながら有効な治療法は確立されておらず、進行すると命にかかわる病気です。

検査

椎間板ヘルニアが疑われる場合は、まず身体検査や神経学的検査を行い、病変部いや神経障害の程度を評価します。

一般身体検査

全身状態を確認し、発熱や脱水の有無、整形外科疾患や内科疾患など、椎間板ヘルニア以外の病気が隠れていないかを評価します。また、痛みの部位や程度についても確認します。

神経学的検査

歩き方や姿勢、四肢の反射、痛覚の有無などを確認し、脊髄のどの部位に異常があるのかを評価します。病変部位の推定や重症度の判定、治療方針の決定に活用します。

レントゲン検査

レントゲン検査では椎間板ヘルニアそのものを直接確認することができますが、骨折や腫瘍、脊椎の変形など、他の疾患との鑑別に役立てます。

CT検査

骨の状態を招請に評価することができます。石灰化した椎間板物質を確認することができる場合があります。CT検査では脊椎そのものを評価することが出来ないため、脊髄の評価にはMRI検査が必要です。

MRI検査

脊髄や椎間板の状態を詳しく評価できる検査です。脊髄がどのくらい圧迫されているのか、脊髄にどのような変化が起きているのかを把握するため、神経障害の程度や予後を評価するうえで非常に重要な情報が得られます。椎間板ヘルニアの正確な診断には欠かせない検査となります。

治療

椎間板ヘルニアの治療は、症状の重症度や発症からの経過時間、神経障害の程度などを総合的に判断して選択します。

内科治療

痛みのみが認められる症例や神経症状が比較的軽度な症例では内科治療を選択することがあります。

内科治療では、消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛に対する薬剤を使用しながら、運動を制限して脊髄や椎間板への負担を軽減します。特に発症直後はケージレスト(安静管理)が重要であり、症状が改善しても急な運動再開は再発や悪化につながる可能性があります。

ただし、内科治療では脱出した椎間板物質を取り除くことはできない為、症状の進行や改善の程度を慎重に評価しながら治療を進めていきます。

外科治療

歩行障害や麻痺が認められる症例、内科治療で十分な改善が得られない症例では外科治療を検討します。

片側椎弓切除術

脊髄を圧迫している側の椎弓(背骨の一部)切除し、脱出した椎間板物質を除去することで脊髄への圧迫を解除する手術です。病変部を直接確認しながら圧迫物資を取り除くことができるため、胸腰部椎間板ヘルニアに対して広く行われている標準的な手術法です。

神経機能が残っている症例では良好な回復が期待でき、重度の麻痺がみられる場合でも早期に手術を行うことで機能回復の可能性が高まります。

症状によっては以下の手術法を選択することもあります。

  • 腹側スロット術
  • 小範囲片側椎弓切除術
  • 背側椎弓切除術
  • 予防的造窓術

など手術方法は病変部位や病態に応じて選択されます。

リハビリテーション

手術後や神経症状が改善してきた段階では、筋力の維持や歩行機能の回復を目的としてリハビリテーションを実施します。

リハビリテーションでは、関節の可動域を維持する運動や起立訓練などを行います。適切なリハビリテーションは機能回復を促し、日常生活への早期復帰につながります。

椎間板ヘルニアは早期診断・早期治療が重要な疾患です。特に歩行障害や麻痺が認められる場合は、速やかに適切な治療を行うことで良好な回復が期待できます。

環軸椎不安定症

小型犬に多く、第一頸椎と第二頸椎の間の動きが不安定になり、脊髄を圧迫し、頸部の痛み、四肢の麻痺、あるいはふらつきなどの症状が現れる病気です。重症例では呼吸筋麻痺で亡くなることがあります。環軸椎不安定症の根本的治療は外科手術となります。

てんかん

繰り返しけいれん発作を起こす神経疾患です。発作の回数、時間、様子を確認し、必要に応じて血液検査や抗てんかん薬による管理を行います。

前庭疾患

平衡感覚に関わる神経の異常により、首が傾く、眼が揺れる、ふらつくなどの症状が起こります。内耳疾患や脳の病気との鑑別が必要です。

馬尾症候群

比較的大型犬に多く、腰仙椎の狭窄や不安定により誘発される馬尾神経障害の総称です。後肢のふらつきや痛み、失禁、しっぽの運動障害などが起こります。症状は、後肢の跛行、しっぽを触ると嫌がる、後肢の爪が削れる、などですが、重症例では失禁(尿、便)が発現します。

脳腫瘍

高齢の犬や猫では脳腫瘍が好発します。これにはいろいろなタイプがありますが、髄膜腫など外科的切除が動物の延命に効果的となるものもあります。臨床症状は腫瘍が発生した場所により異なりますが、発作、視覚障害、四肢のふらつき、活動性低下(睡眠時間の延長など)、行動異常(旋回、斜頸、頭部の押し付け、など)、あるいは性格の変化など多様なものがみられます。放置された場合は、頭蓋内圧亢進症そして致命的な脳ヘルニアを続発します。

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